働き方改革に挑戦する企業

4月8日から4日間に渡り「タニタの挑戦、さらば正社員」の特集記事を読みました。働き方改革について、なかなか「野心的な挑戦」だといえます。様々な課題が出てきているものの、徐々に解決の方向を探っているようです。人事労務関連の学者の方にも、議論をお願いして「新しい労働契約の在り方」を検討していく必要があります。

一つは、独立した元社員と業務委託契約を結んだ際に、企業の厚生施設や備品、設備等をどのようにして利用するのかという課題です。そのまま仕事を続けて設備等を利用するということは企業として無償貸与にあたり、税務上の問題はないのかという疑問が生じてきます。これらのことを一つ一つ解決すべくフリーランス(個人事業主)に転じた元労働組合委員長が担当していると記事に書かれていました。

しかし、社会保障の一つである年金制度などはどうなるのかなどの課題も残っています。厚生年金から国民年金になると、国民年金を支払い終えた時に受給できる金額がかなり低くなることは生活をしていく上での課題もあります。国民年金基金を積み立てても大幅な増額は望めません。さらに病気での休業補償、育児休暇、介護休暇などをどのように対処するのかなども考えられます。半世紀前に策定された社会保障制度が現在の状況に合わなくなっていることは否めません。国のルールを考え直すべき時期にきているといえます。厚生労働省の役人には、きちんと年金制度の再設計をおこなって貰うことが必要になってきます。

能力がある有能な社員にとっては、メリットの多い仕組みであることは事実だと思います。しかし、従業員の大半は、特筆すべき能力を持ち合わせていないことが多いと思います。企業が、この二つの「働き方の仕組み」を並行して構築していけるのであれば、この挑戦は「新しい働き方改革」につながるかもしれません。多くの課題を解決して「二つの制度」を成功させれば、他の企業も追従してくると思います。今後の「タニタ」を追跡してみようと思いました。