2次、3次下請け企業
アベノミクスの「3本の矢」が始まった時に言われた「トリクルダウン理論」を中小企業の社長達は覚えているでしょうか?経団連の理事の方々はこぞって賛成されていましたが、その後、中小企業の経済回復の実感は無くトリクルダウン理論は露と消えました。※1 この結果出てきた数字が、史上最高の剰余金403兆円でした。つまり、儲けた金をため込んでいたのは上場企業の大企業で、このお金は中小企業から搾り取ったものだといえるのではないでしょうか? 私が存じ上げている中小企業の社長の話では、顧客先(超有名上場企業)の営業担当に「口先発注」で受けた素材を3000万円の仕入(通常の2年分)をしたけれど、実際に注文がきたのは口先発注時の量の4分の1だったそうです。大企業は中小企業を自分の駒とでも思っているのでしょうか?
残念ながらアベノミクスの恩恵に預かったのは、一部の上場企業だけだったという事実を大企業の経営者にはもう少し認識して欲しいと思います。最低賃金の話については、中小企業にとっては経費の圧迫にはなることはあるが、売上高の増加につながるだけの従業員の生産性向上には結びついてはいません。史上最高の剰余金は、コスト低減を中小企業に要求した結果得られたものです。今後、中小企業に部品等を発注する大企業には、コスト低減を前面に押し出した発注は避けて欲しいものです。
次期総理候補である菅氏のコメントに※2 中小企業の再編の話が出てきていて、資本の金額の縛りや従業員数の見直しに言及しています。前向きに捉えれば、3次下請けとなっている企業同士が統合することで、大企業に対し意見を言える立場になれると解釈ができます。大企業に対しては「安売り」を追求する姿勢を改めて、視点を変えた「新しい価値」の追求をして貰いたいです。顧客先の大企業には、中小企業が従業員に最低賃金を超える時給を払えるように「生産性向上」の方法を助言する姿勢が必要です。大企業は、中小企業が厚生年金の負担をできるような仕事量とそれに見合った発注金額を保障することが求められていると思います。
※1 2020年9月4日日経新聞2面の記事より
※2 2020年9月6日日経新聞3面の記事より