初任給を上げても人は直ぐに辞めてしまう

最近、新聞を読むと「○○企業が初任給を●●円に上げた」という記事が目につきます。初任給を上げることは悪いことではないですが、それだけで人が定着するかどうかは別問題です。従業員にとって給与が上がるということは生活していけるかどうか重要なことです。マズローの「5段階欲求」でいうところの「生理的欲求」に当たり最低レベルの欲求になります。つまり、ある意味で平均的な処遇を受けることは当然なことであると言えます。

人はどんなに高い給与を与えても満足することは決してありません。高い給与を支給したとしても翌月には「もっとくれ」ということになります。人材を定着させるには採用した人材をどのように育成するかに係っています。つまり、従業員にどんなに高い給与を払っても刺激(評価)を与え続けなければ辞めてしまうということです。

能力評価や人事考課は定期的に実施して被評価者が納得する形でおこなわなければ、やらないのと同じ結果に陥ってしまいます。評価には透明性と公平性が求められます。どのような方法で評価をするのか、どのような基準で誰がするのかを明示しておく必要があります。ただし、複雑にすれば良いというものでもありません。評価や人材育成の方法も市販されている評価制度を参考にして自社に合ったものに組み替えれば良いだけです。重要なのは継続して「能力開発と評価」を続けていくことです。能力評価システムも人事考課システムも外部環境に合わせて変化させていくことが必要です。

人は自分の仕事が評価されていると認識すれば、さらに高いレベルの仕事に挑戦しようとします。「ここまでやったら○○の給与をあげるよ」という形にすると失敗することが多くなるので注意が必要です。キーワードは内発的動機付けです。動機付けで有名なものはハーズバーグの2要因論です。市販本が数多く出版されていますが、すべてはこの2要因論が基本になっているので、あまり色々と読む必要はありません。最近「識学」という言葉がでていますが、2要因論さえ理解していれば惑わされることはありません。何をしたら良いか分からない時は、朝の挨拶と「お疲れ様」の言葉かけを「毎日」おこなってください。それだけでかなり違うはずです。良い人材は「採用する」ものではなく「育成する」ものです。人手不足に陥るのは人を教育していない時に起こります。まずは実践あるのみです。今日からやってみましょう。