1日は8時間労働で良いのか?

1日8時間の労働を基準としている労働基準法は1947年に制定されています。今から73年前に決められた8時間の労働時間が正しいと言える裏付けはいったいどこにあるのでしょうか?

人間の脳は起床してから13時間しか集中が保てないと東京大学大学院島津明人准教授がデータを基に発表しています。13時間を過ぎると「酒酔い運転」と同じ集中力しかなくなるそうです。トップアスリートが言うには、限界まで追い込んでの練習は2時間以上はできないそうです。物書きは5時間以上は集中力が続かないそうです。※1

スウェーデンの会社で1日の労働時間が6時間という企業があります。2002年に労働時間を改正したトヨタのサービスセンターの話です。業務効率が改善し顧客からのクレームが減少して利益率も25%に向上したとの報告があります。最大の効果は離職率の減少であるとのことです。ヨーテボリ市では大規模な実験をおこないましたが、税金を使っての実験であったため費用対効果が得られずに2017年で終了しています。

これに対して、IT企業(フィルムンダス社)では2014年に成功しており、従業員のワークライフバランスが向上して会議が減少して効率の良い仕事ができるようになったそうです。※2 これはスウェーデンが1日7時間しか働かないのと残業をしない国民性であったために対応できたのだと思います。ただ、労働時間を6時間にする代わりに一切SNSを勤務時間内にはやらないという約束事を設けたそうです。労働時間の長さを議論するとしたらヒントになる良い事例だといえます。労働生産性向上に向けて検討する余地があるのではないでしょうか?

 

※1リクルートマネジメントソリューションズ 2016年8月8日 https://www.recruit-ms.co.jp/issue/column/0000000500/

※2 弁護士 田中靖子氏コラム 2017年4月3日『北欧スウェーデンの、6時間労働制とワークライフバランス』