食品ロスと食糧危機

東京都の広報のコラムに「チームもったいない」の参加者募集がありました。今から3年前の農林水産省と環境省の統計では、日本国内で1年間に廃棄された食品ロスは646万トンというとてつもない数字です。今から5年前の数字で世界の飢餓人口は300万人いると新聞に書かれていたのを思い出しました。日本の食品廃棄ロスで1年間にひとり2トンの食糧が渡る計算になります。食べ放題は罪悪だと恥ずべきでしょう。それから、スーパーで先入れ先出しを個々に行っていますか?まさか、奥の方に並んでいる商品から取り出していないでしょうね。

日本の食料自給率は、農林水産省の表向きに発表している数字がカロリーベースで39%です。出荷生産量を考慮してみるとおおよそ65%程度です。それでも100%に満たない数字です。特に危険と思われる数字は小麦がほぼ100%輸入に頼っている点です。パン、うどん、パスタなどは輸入がストップすると食べられなくなります。笑い事ではありませんね。この他にも飼料として代表的なトウモロコシは100%が輸入されています。輸入がストップすると牛、豚、などの飼料が無くなるということです。つまり、私たちは牛と豚が食べられなくなるということです。

2012年世界的な天候不順で食料生産が低下しました。大豆やトウモロコシの輸入が激減したことを私は今でも覚えています。あれから6年経ちますが、日本の農業政策が大きく変わったという話を聞いたことがありません。新興国の経済が豊かになり、現在では食料の輸入が増加しつつあります。中国は2012年に大豆の輸入量が年間で6,000万トンと増加しつつあります。日本は400万トン弱です。

これらの事実を踏まえると日本は穀物類(トウモロコシ、大豆、小麦)の生産に力を入れるべきでしょう。農林水産省も補助金を「悪」と捉えずに「善」と考え直す必要があります。世界で農業に補助金を出していない国はありません。フランスの農業が90%補助金に頼り、アメリカも50%が補助金を利用して生産されています。日本のマスコミはこういう事実を公表せずに「役所たたき」をすることだけに精力を尽くしていますね。日本も早急に農業政策を大転換することを論議しないと食糧危機が訪れた時に、隣国の中国に「物乞い」しなくてはいけない状況に陥ってしまいます。食糧危機は2050年とも2030年とも言われています。私も微力ながら、今年、中小企業庁の農商工連携促進事業に関わって、農商工連携フォーラムの司会を勤めさせていただきます。農業(食と健康)を考える良い機会だと思います。