事業承継とコミュニケーション能力
2018年、2019年と中小企業の経営者から事業承継の相談を受けたことがあります。共通していた課題は、従業員とのコミュニケーションが上手くいかないという事例が多かったように感じます。中には、事業承継候補者とのコミュニケーションが不足している場合もありました。事業承継に限らず、身内だから分かっているだろうというのは厳禁です。何をどの様な方法で相手に伝えるかはとても重要なことです。
コミュニケーションという言葉を聞くと、お互いに意見を言い合うというふうに思われがちです。しかし、経営者に求められるコミュニケーション能力は違います。相手(従業員)の話をいかに聞きだすか、あるいはいかに多くの話をさせるかにあります。つまり、経営者(経営幹部)が良いファシリテーターに徹することができるかということなのです。
自分ではコミュニケーション能力があると思っている人の大半は、自分の話が中心になって喋っているだけのことが多く、相手の話を要約して第三者に伝えることが上手くありません。経営者の方でも明確に応えられる方はあまり多くありません。
相手の話を聞くということは、会社の問題点を具体的に説明して貰える良いチャンスだと言えます。このことにより、会社の課題が浮き彫りになり良い解決策につながることが多くなります。良いコミュニケーション能力とは、いかに相手に多くの事を喋らせるかということに他ならないのです。肝に銘じて従業員に話かけてください。