報酬増でモチベーションは上がらない
8月15日にルネサスエレクトロニクスが従業員に新株予約権(ストックオプション)を与える制度を8月から導入するという新聞記事がありました。従業員の仕事への意欲が高まると期待しているとありましたが、誰が期待しているのでしょうか?経営幹部でしょうか?新聞記事を書いたモチベーション理論を理解していない記者なのでしょうか?
いずれにしても、大企業の人事管理部署の人も新聞記者にしても「動機づけ理論」をもう少し勉強して欲しいものです。60年以上も前にフレディリック・ハーズバーグがある実験を基に確立した「動機づけ理論」を人事管理に関わる経営幹部が、未だに理解していないとすれば実に情けない限りです。
モチベーションを上げることがいかに重要なのかを知ることは、経営者が策定した戦略に合わせて人的資源を配置する時に必要なことなのです。強みが成果に結びつくよう人を配置すること(適材適所)が戦略を推進していく上でとても大切なことなのです。※
人間は馬ではありません。目の前に人参(お金)をぶら下げても決して積極的に仕事はしません。こんな判り切っていることを恥ずかしげもなく企業が発表したり、新聞が記事にすることを私はとても情けなく思います。人事戦略を担当している私からすれば、「おととい来い!」というところでしょうか?繰り返しになりますが、人は上司に能力を評価されて仕事で認められることで成長するものです。決して報酬を得ることでモチベーションが高まる訳ではありません。経営者ならばこの決定的な違いを理解して欲しいものです。
※ピータードラッカー[2001]『マネジメント』ダイヤモンド社